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島根県出雲市。原始時代より人々が住み着くこの地で、日本酒造りを続ける「板倉酒造」さんを訪ねました。ご案内いただいた杜氏の小島さんは、愛知県のご出身。酒造りのために出雲に移り住み、この土地の成り立ちや民俗の特色を文献史料から読み解き、出雲の食材を使い土地の風土を映し出すような酒造りをされています。
「なぜ人々は日本酒をつくり始めたのか?」
酒造りに欠かせない、米、水、人。
はるか昔、日本がまだ農耕民族だった頃、命を繋ぐ「米」は、神である山や自然からの恵みであり、神そのものであるという考えのもと、人々はその返報品として酒をつくり始めます。酒造りに欠かせない「水」もまた神=自然の恵みであり、出来上がった酒を神に奉納することで神に敬意と感謝の気持ちを表し、また来る年の五穀豊穣と子孫繁栄を願ったそうです。
「なぜ人々は日本酒を飲むのか?」
日本酒は、神にお供えするための御神酒(おみき)。
「人々は、自然の中で生き抜くために”群れ”を成し、神と同じお酒を飲むことで神と一体となれ、群れの絆もより強いものになったのではないか」と杜氏の小島さんは考えています。
現代では想像できないくらい生死が身近だった時代。群れで協力し合い厳しい環境を生き抜いた先人たちは、全身全霊で作物を育て神に感謝し、祈りを捧げてきました。その営みの中で生み出されたものこそが日本酒であり、神=自然と共有できるものだったのでしょう。
「自然に贈与できる酒造り」
産物を与えてくれる自然。それを賜る人間。自然と人が互いに贈与することで、日本酒が生まれる。
「つまり日本酒とは、人間が日本の土地=自然と共有して生まれるお酒なのです」と語る小島さんは、”生物が自然と共有して生まれるお酒造り”をスタートされています。それが「イトナミミード」です。
ミードはハチミツが原料の人類最古のお酒として知られていますが、日本で造られているところはまだ少ないお酒です。小島さんは「日本人の営みの象徴が日本酒であるように、自然界の営みが凝縮されたものがミードだ」という思いのもと、生物の営みに寄り添うお酒づくりに挑戦されています。
イトナミミードは、国産の生ハチミツに含まれる天然酵母で発酵させた醸造酒です。瓶内二次発酵によるピチピチとした甘く優しい泡は生命感があり、まさに「歓喜の酒」を思わせます。アルコールは3%と低めので、お酒が苦手な方でも楽しみやすいです。
本数に限りがありますが、販売開始2年目となる今年から、eatrip soilでお取り扱いさせていただくこととなりました。販売は2022年8月末からの開始予定で、静岡県大島にある村上養蜂場の大島桜の生ハチミツを使用し造られたものが届きます。
日本酒造りから生まれたイトナミミード。ぜひ、自然のイトナミを想像しながら味わっていただきたいお酒です。