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soil eatrip, 昨日は和歌山県御坊市(ごぼうし)堀河屋野村さんを訪ねました。
一年の時季に合わせ、お醤油、お味噌、徑山寺(きんざんじ)味噌の仕込みをされている野村さん。夏のこの時季は、地元農家さんの野菜を漬け込んだおかず味噌「徑山寺味噌」の仕込みの真っ只中で、昨日は近所のお母さんたちが集まり麹の手入れや野菜のカットなど、朝からせっせと作業をされていました。
徑山寺味噌のルーツは鎌倉時代まで遡り、中国から日本に初めて伝わったとされるのが和歌山県御坊市。その味噌を寝かせ熟成させる際にできた上澄みが、醤油の起源と言われているそうです。
野村さんのものづくりは、実直そのもの。お醤油作りは100年以上前の木桶で作られ麹菌の自然発酵によって熟成。
お味噌は大豆を炒って唐箕(とうみ)で皮抜きをし、さらにそれを手で選別。と、古法を受け継ぎとことん丁寧なものづくりを続けていらっしゃいます。
「野村さん、なぜ木桶を使うのですか?」という質問に、
「麹は木桶(木材)の中で生き続ける。木桶を使い続けることによって、麹が次の年、また次の年へと受け継がれる。その繰り返しで醤油の味が醸していくのです。木桶作りは、農家さんでいう土壌作りと同じだと思っているんです。」と合点。
続けて「自分が好きな味、本当に美味しいと思うものだからこそ続けられる。330年、どの時代も地域とお客様と三位一体で支えられ、これからも目の届く範囲での商いをしていきたい」と野村家のアイデンティティを教えてくださいました。
食べることは、まとうこと。毎日の食の選択が自分の心身を作り、社会を作り、そうして食のバトンが次の世代へと繋がっていく。人としてどう生きるか、人間にとってかけがえのないものとは何か。野村さんのものづくりに対する姿勢からそんなことをふと思いながら、朝の気持ちよい風を感じた日でありました。
(chiha)